宣告/
落合朱美
日 寡黙だった父が
たった一言漏らした言葉
・・・・みっともなくたっていい
俺は少しでも長く生きたい・・・・
その日以来
盲目であることを悲観して
毎日死にたいと零していた祖母は
ぴたりとそれを云うのをやめた
あれから二年
父はまだ生きている
老いはじめた身体を
鍛えながら労わりながら
ゆるやかに懸命に
生きている
私たちはあいかわらず淡々と
黙ってそれを見守るしかない日々
だけどその姿は
娘のひいき目で見たって
けっしてみっともなくなんかない
戻る
編
削
Point
(20)