少年の日の僕へ/桜 葉一
 
小さくて可愛らしくて、まだ幼かった僕へ。

君は本当に背が小さくって、よく友達にからかわれてたね。
力がなくって、気弱で泣き虫で、そのくせ負けん気は強くて、わがままな子だったね。
でも背が小さいから、先輩の女子に可愛がられて、ちょっと良い思いもしたっけね。

君は算数が得意だったね。
掛け算の九九は誰よりも早かったよね。
漢字は苦手で、作文を書くときはひらがなばかりだったよね。

親がつけてくれた、男なのに、女の子のような名前、気に入ることができましたか?
君はそのことでもよくからかわれてたね。
お母さんが妊娠したとき、君は
「弟が欲しい。弟が良い」って言っていたよね。
[次のページ]
戻る   Point(1)