理想と現実と信念/絶倫号
理想も現実も
常に一つじゃない
いつも同じトマトが木に実らないように
理想を言葉にすれば
それは現実のクソッタレをはかる物差しになる
現実を言葉にすれば
無気力無関心の行儀のいいぼっちゃんになる
木から落ちたトマトが
中身をはじけ出して崩れるように
理想も現実も入り乱れている
声を発するたびに
形を変えていく
理想と現実
理想と現実の狭間で
人間に残された一つの救いは
救い難い信念だ
信念を言葉にするなら
何一つ形を変えない力
崩れたトマトに唯一残る種のように
パンドラの箱に残されていたもの
それは希望ではない信念だ
希望は人を殺さないが
信念は人を簡単に殺すだろう
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