ふるえ 終章/木立 悟
 



言葉の手
音の火
途切れながらつづく歌
原をめぐる者たちは
けして治らない傷を持ち
手を継ぐもの
火を継ぐもの
いつの日か果てるもののひとりとして
不完全な魂に
またひとつ手のひらを添えてゆく



言葉と言葉の間のすべて
次を持たない微笑みの日
見えない色まで高まる炎
何かに押されるようにして草の波ははじまり
原に立つ子へと打ち寄せる
荒れ狂う原に
終りかけた原に
内に 外に ふたりの子は立ち
黄緑色の王国を見つめている




ふるえよ つづけ
飛び去る鳥の
羽の音しか聞こえぬほどに
ふるえよ つづけ
なめらかな言の葉
いのち削る音さえ聞こえぬほどに
背中に生えたオルゴールから
羽の音しか聞こえぬほどに








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