実刑/カンチェルスキス
取り締まることのできない光の減少が
駅のホームに加算されていき
歩みと停止を繰り返す人影を貶める
遠近法を失い胸まで迫ってくる欠落に喘ぐのだ
やがて満たされる黒の描写の内に
瀕死の酸素呼吸の泡が上昇する
誰もが単色に埋没されていくことを否定できない
重力を感じたそばから
名づけようのない液体が怠惰や精気とともに
漏れはじめて
なけなしの身体は既に重力に反応することができない
俺はここで何者かによって殺され続けているのだ
敷き詰められた砂利が沈黙を保ち続ける幸運を
一顧だにしない
容赦なく続いていくレールの表面にも
あらゆる減少が
なめらかに進んでゆく
見届けてるうちになくした視力を
そこらへんにでも転がってるように想い続けた
表面張力
古ぼけた時計台の時計が盗まれて久しいのだ
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