裏切り者のテーマ/藤倉けい
ることは
それは「一切は中断から始まる」ということだった
むらさき色の雨に降られ
夜の海に沈んだ街を唇噛みしめ歩けば
ポケットの手は凍りついていて一枚きりの赤い切符握ってる
もう戻れないだろう 戻らないだろう
そう今こそはすべてに別れを告げる夜
そして夜が明ける時こそは
街が劇場となる朝なのだ!
シュペングラーは
「過ぎ去る一切は言葉の比喩に過ぎない」と言った
そうだ
振り返るな 振り返るな
かすむ彼方は世界の終わりか?
約束の時と場所
嘘と裏切りに塗れて
みじめさ 醜さ 弱さ 哀しみ
全てを飲み込んで走りだす出発のとき
そうだ
走っていこう
輝ける破滅の地平
合言葉は 「サヨナラ」
夜明けまで
もうすぐ・・・
サヨナラ
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