消えない涙痕/
 
「涙の色は何色?」

と君が突然訊いたから

「透明なアオかな」

と僕は答えたけれど

「きっと濁ってる」

と言って君は俯いた


あの時

手を伸ばし遅れて

風にさらわれてしまった

君の涙が

今日僕の足元に

落ちました


涙の色はまだ見えません

涙の色はもう見えません


後に残るは

わずかに君の

香りがする

消えない涙痕



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唯浮さんによる朗読がポイントにて聴けます

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