彼岸花/yo-yo
追うように
追われるように
獣たちが駆け抜けていった
土手の草むら
ことし祖母は
言葉をいっぱい失ったので
体も半分になってしまったと言う
秋になって
いちめんの草が染まった
赤い血の色をして
花を摘もうとしたが
半分になってしまったひとの
右手は冷たくて
左手は熱く
ふたつの手にふたつの季節があるようだ
季節をこえてゆく速さを
追いかけてみても
獣たちの足には追いつくことはできず
風のさきでは
冬じたくする獣たちも
きっと花のように燃えているだろう
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