パヤオの女/狸亭
すこと
やさしい気分にさせられて
かわす英、日、タイの片言
すぐ夢をみる甘いユマニテ
色あせたこころのさびしさ
かさねあわせる文明の歴史
悲しみを伝えゆれ動く乳房
南の辺土で思う北の里恋し
季節のない常夏の椰子林に
ふく風も刻々と、色や香り
微妙に変えつつ時は虚ろに
過ぎて行きめぐるからくり
チェンマイからチェンライ
チェンライからパヤオへと
二十六歳から突然三十三歳
ひとりの女の辿った生の跡
よりそうこともままならず
北と南に別れて暮らす二人
君はタイ、俺ジャパニーズ
「恋は半酔で」と友の便り。
(押韻定型詩の試み 28)
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