蝶々連鎖/千月 話子
草むらを分け入ると
シジミチョウの群れが一斉に飛び出した
散りじりに空へ舞い上がる
小さな薄紫の花びらよ
先を行く 私の体にまとわり付いて
軽くなる体 ここは、春の国?
頬に触れる一匹の モンシロチョウが
木陰を廻り 夏の隙間に消えて行く
消えて行く あやふやな隙間から
夜のモーター音 夏の風
つい昨日の事だった それよ
ああ、、喉が渇いた、、
干乾びる前に気付く
爪先で 木陰の湿度
昨日から 窓を閉じた。
湿度示す 黄色の
系を包む塩化ビニール
しゃりしゃり と触れる音
乾ききらない、まだ編まない
そうして 形作られることのない柔らな
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