アル中男の逸話/壽瀬 チカ
アル中男の逸話 祷瀬チカ
頭を抑えてやっとの思いでベッドを起き上がると握っていた目覚まし時計は昼の二時を指していた。何の気なしに、手を差し込み両手を広げると、差し込んだのは昨日の夜出かける前につけたサスペンダーだ。やっと自分の着ているものがパジャマでなく夜出かけた格好のままだと気づく。ここはベッドかと思っていたがそこはソファの上だ。昨日の夜どうしたか。
そう、そうだ一杯引っ掛けるつもりで飲みに出た。ぼんやりと静かな部屋を見回しながら、『確かメモリーズだったよな。』またサスペンダーに手を突っ込んでいる。店に行ったら奴がいて「よう」と言ってそばにステファニーとアランがいた。まず一杯
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