密猟/黒川排除 (oldsoup)
はない。わたしはこの草むらに漫然と広がるわたしと呼ばれる自己意識の散乱においても、正しくは夜露のひとつ、一粒、軌跡、動き、反射、記憶、輪郭、透過率さえも捕らえてはいない。
わたしはうつむいた。
友人は消えて行った。
もう二年前の話だ。
わたしが死んだのは五年前だが。
わたしはひどく耄碌しているのだ、さもなくばこんなことをしているはずがない。伸び続ける銃身を抱いたままに磨いているというのだ。してまたわたしの身体が伸びたかどうかも、わたし以外の何者も知らないというのだ。
一片の虚実は焙って食ってしまった。
他に何が必要だというのか。
鳴き声が聞こえる。わたしに分かるのは、それが動物のものではないということ。わたしが理解したくないことは、それが動物のものではないということだ。……昼はまだか。雨はうんざりだ。死はどこにあるんだ。その鳴き声というのがひどく近接して、生暖かさを帯びだす。即ち悲鳴だ。銃弾はわたしの眼球に傷を残していた。わたしは立たねばならない。残された傷の方向へ。獲物の荒々しい息づかいが、徐々に絶えていく方向へ。
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