密猟/黒川排除 (oldsoup)
 
 わたしは草むらに腹這いになって、銃を構えた。そして撃った。一発の銃弾は疲弊しきった夜のトーンに青白い軌跡を描くように思えた。が、途端に見えなくなった。母音と子音が互いに身を擦り寄せ始める。それはわたしが隠れている草むらで、平然と行われている。に違いない。

 推測や思い違いですら掻き集めなければならず、掻き集めたものをまた草むらと呼ぶ。以前からずっと呼んでいた──わたしだけではなく、世界そのものがそう呼んでいた。ただし、わたしが見たものしかわたしは世界と認めない。故にわたしはこの草むらを支配した一塊のわたしだった。が、わたしは何も捕らえることが出来なかった。
 過去の話。をしているのではな
[次のページ]
戻る   Point(0)