組詩「二宮」/岡部淳太郎
 
しまう。

「おまえを迎えに/風の吹く場所からやってくる者」

これも「遠い町・ウクバール」から。永田の言うところでは、ウクバールの町にはいつも風が吹いている。そして、永田の家の電話からウクバールの風の音が聞こえてきた直後、永田を迎えに来たかのように守護神獣ルクーが現れる。やがて、ルクーが消えた後、永田の姿も忽然と消え失せてしまう。

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「大船/藤沢/辻堂/茅ヶ崎/平塚/大磯」

JR東海道線の下り電車が停車する駅の数々。大船から順に二宮に近づいている。この後に出て来る「真鶴/根府川/早川/小田原/鴨宮/国府津」は、逆に上り電車が停車していく駅。

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「神でさえも常に二重だ」

日本人の信仰が神道、仏教、キリスト教など、いくつもの宗教と重なり合っていることを表している。

  


(二〇〇五年八〜九月)

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