組詩「二宮」/岡部淳太郎
 
所へ」

「いまここ」を英語に直訳すると「now here」となる。つまり「nowhere」。どこでもない場所となる。ビートルズの曲「Nowhere Man」からの着想。

「あの時の弾痕」

前述「銃弾の残る屋根」の項参照。

「溶けたガラスのような」

『ガラスのうさぎ』の作者高木敏子氏は、東京の家にあったガラス製のうさぎの置物を、家が焼けた後も大事に持ち歩いていた。空襲の熱のため、そのガラスのうさぎは溶けかかっていた。

「駅前の像もただの風景と成り果てて」

二宮駅南口には昭和五六年に建てられたガラスのうさぎを抱いた少女の像がある。その像が駅前の風景にとけこんで
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