絶句/石川和広
犬が鳴いている
と書いた瞬間
何かいのちが死に絶え
また生まれるような気がする
書くことは定義不能
生きている毎日が
戦いだ
誰のため
自分のためではない
存在そのもののため
こういうと
抵抗があるかもしれないが
たぶん嘘ではない
いじけながら生きている
耳を立てながら生きている
明日病院へいく
なにもかも
なんのためでなくても
書くこと
そしてその裏で
星は生まれ
星は死ぬ
夜になるとそんな気がして
ふるえてくる
教えられたこと
その縛りの中で
もだえながら
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