午後と鏡/
木立 悟
背を追いたてる響きがある
歪みを映す光がある
遠い道から見つめるものの目
暗く乾いた熱のような目
異なる滴は異なるまま
鏡を流れ落ちてゆく
やわらかくはならない
混ざることもない
ただ重なり
離れてゆく
とどくもの
つもるもの
緑を抱きとめてゆく金の
ほのかなかたち
大きな水たまりに揺れる
ほのかなふちどり
雲間の星座の呼吸から
ふくらみと湿り気は降りおりて
野に路地に川にはずみ
低いところへと満ちていき
坂道を水の背に塗り変えてゆく
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