七曲坂/なかやまそう
七曲坂を
七回曲がり
ぎしぎしと
悲鳴をあげる
白い自転車から
見下ろす
新宿方面の
夜景が好きだ
七年前に
この場所から
桜の木々の隙間を
流れていった
ちいさな星は
地面に落下し
こなごなとなり
深い闇夜に溶けた
七つ歳を重ね
こなごなになった
ちいさな星を
今日も探し
求める東京で
感じる戸惑いは
河の深さを
測るために
七色に
にごった
底の
見えない暗闇に
ゆっくりと
足を浸らせるようで
潜る前から
震えるけれど
七回目の
深い呼吸で
七色に滲んだ
ココロの底から
あらわれる
ちいさな星の断片は
静かな
暗闇を流れ
七曲坂の頂上で
緑色の
土の匂いを
はこぶ
乾いた夜風が
僕の側を通過する
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