低い風で雲を流せば/たりぽん(大理 奔)
 
風のかたちになりたいのです
なのに
縫いつけておいたはずの秋風が
かたちをうばいました


(ほたる  湯けむり  はぐれ雲)


うばわれたと思ったのは勘違いでした
かたちがないことが
風のすみかだったのです


(落ち葉  風花     花吹雪)


風の残すものは
いつも儚いものばかり
季節すらもすみかにして


(黄砂   風紋     渡り鳥)


風のかたちになりたいと願い
あんなにも激しく恋した夏すらも
鱗雲にかたちを移し

星宿を流していきました



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