弛緩/なかやまそう
 
浅い夕闇をきりさく
白と赤の急行電車は
あたたかい愛情と
あわい思い出と
あかい空っぽの
カバンを乗せて
ゆっくりと隅田川に沈む

水面に浮かんだ
マミドリのヒカリの
デコボコは崩れ

川の淵を歩く僕は
空き缶や新聞紙や落ち葉や汚物や
レースクイーンが表紙の雑誌や
泥や石や犬やベンチで眠る
ホームレスらと一緒に
あふれた水にのみこまれ

ぼくは今日
肉になった

白いけむりと外国人と
日本人の観光客であふれた
砂利道をすすみ
いきどまりでご縁を投げかけ
願いが届く確率と
精子が卵子にイきつく
確率をかんがえながら
手を合わせ


ぼく
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