見えていてすでに海は/藤原 実
もれて死んでも私たちは再び生きて再び大海原に船出することだろう。
なぜならこの私自身も誰かによって書かれた、一行の詩にすぎないのだから。
見えていてすでに海は記憶のなか砂に埋もれる五月のかもめ
・・・そのころ甲板の上では若い水夫が空を指さして、みんなの方に振り向きざまに叫んでいた。
ごらん! 地平線の彼方から 一羽のかもめが飛んでくる ---------
(*注) 新明解国語辞典【第五版】より引用。
(**注) 安西冬衛詩集『軍艦茉莉』より「春」。
(***注)寺山修司『墓場まで何マイル?』(絶筆)より引用。
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