見えていてすでに海は/藤原 実
ある麗らかな朝、一行の詩が書物から立ち上がってはるかな水平線をめざして言葉の海を泳ぎだしたまま行方不明になった。さっそく捜索隊が組織され船出することになった--------。
どうも気がすすまないな、と船長の<明海>は捜索本部から渡された海図を広げながら思った。
し【詩】(1)[文学の一形態として]自然・人情の美しさ、人生の哀歓などを語りかけるように、また社会への憤りを訴えるべく、あるいはまた、幻想の世界を具現するかのように、選び抜かれた言葉で表現したもの。[広義では、渇き切った現代人の心に憩いを与える純粋で清らかなものをも意味する] (*注)
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