SAGA/恋月 ぴの
男と女の間には
深くて暗い河があるらしいから
君の悲しい心の内を
僕は分かった振りして黙って頷く
男の情けは出したら終わりで
女は心に宿した思い出を
どこまでも抱きかかえ生きてゆく
生きる事はあまりにも切ない
男は体を削り
女は心を削りながら
命の蝋燭燃え尽きるまで
悲しみに耐えて生きてゆく
君の心に宿した思い出と
僕の吐き出した情けは
暗くて深い河の流れに阻まれて
おたがいの存在すら確かめ合う事無く
凍える涙に霞む晩秋の星空に
ポツンと灯火瞬いた
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