ラッシュアワー/藤原 実
に 観客もすべてたちあがり)
全員 「それはわたし!!!」
(騒然とする劇場内。不意にドアというドアがひらいて夏の海が流れ込んでくる)
・・・・・・こうして 波乗りの島は沈んでしまいました
ところで 岬の教会の神父は棺桶を船にしてひとり島を脱出しました この後神父はサーフボードの少女と出会って ふたりは新しいアダムとイブになることになるのですが・・・・・・(けれども それはまた別の話。) いまはただ船底の水を聖杯でかきだすばかりです こんな唄で調子をとりながら・・・・・・
“いととはさみ いととはさみ
ひとりは万人のために!
ぬいばりまちばり ぬいばりまちばり
ひとりなら万歳!”
輝かしい夏の光を束ねていた水平線がほどけると 海は急に暗くなります
銀色列車が ゆっくりと曲がりながら やってきました
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