我も行人秋のくれ/藤原 実
此道や行人なしに秋の暮 芭蕉
門を出れば我も行人秋のくれ 蕪村
『俳句の世界』の著者である小西甚一さんが、その序文で師範学校の教師だった時代のエピソードにふれられているのですが、小西さんが講義のなかで『奥の細道』の「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」の一節が李白の「春夜宴諸従弟桃李園序」の『夫天地ハ万物ノ逆旅光陰ハ百代ノ過客』に由来する、と言ったところ、ひとりの学生が「先生!芭蕉ほどの俳人が李白の文章を横取りするとは、けしからん事ではありませんか」と言ったとか --------。
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