未熟/千波 一也
いや、わたしは 生きてゆくのだ
いのちであるから
いのりであるから
半端なものは要らない
すべてを賭するに値するすべてを求めて
わたしは 生きてゆくのだ
わたしは みにくい獣だ
(生きる糧を探している いつも)
(生きる術を求めている いつも)
わたしは みにくい獣だ
(異臭をはなつ身だ)
(異形をさらす身だ)
そして おそろしく 飢えている
(花にも蜜にも)
(光にも温度にも)
(やさしさならば尚のこと)
わたしは みにくい獣だ
誰か歩み寄ってくれるだろうか
たとえ ひとしく 獣であったとしても
いや、
おそらくは
ひとしく
獣であるだろうけれど
誰か歩み寄ってくれるだろうか
わたしの望む、その
正面から
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