霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
夜が ひろがる
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やさしいことばで書いてあり、体言止でさまざまなグッズが並べられるのだが(引出しの中にかたつむり!)、そうやって並べられたグッズを眺める僕はひとりで、一方夜はひろがるのだという。
僕は ひとりで
夜が ひろがる
この部分がなんともたまらない。音の数合わせや「ひ」の頭韻といった音楽的要素が素敵だし、なにより、論理的につながらない「僕」と「夜」が並列に置かれている、その存在のあり方、みたいなのがすき。なにしろ、僕は一人で、ただでさえ孤独なのに、夜は広がっていくので、僕はその夜の中でもっと孤独になっていく。澄み渡るような孤独感だ。
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