いつか風になる/LEO
窓を開けた瞬間
朝一番の風は
薄手のシャツを抜け
眠気交じりの肌を
下から上へとナゾルように吹いてきた
頬から
首筋
うなじへと
同じ風に包まれてゆくのをそのままに
まだ整えていない髪が肩の高さで微かに揺れ動く
車もまばらな通り
アスファルトに乾いたタイヤの音が
滑っていくのを目で追って
何回か繰り返す
『蝉が鳴いていない』
ということに今頃気づいた
夏はもういない
ずうっと先へと行ってしまったんだ
風が渡る
夏は終わったわけじゃない
秋冬春を通り越し
その先で
『待っている』
そんな気がした
心地いい匂い
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