4分39秒/カンチェルスキス
液体枯渇の脳に注射器を射す
崖に落ちてく列車の窓に映った
黒く変形した俺たちの姿
微塵も穢れなき青空の雷鳴を
恐れ
物陰で怯える
地面に現れた無数の手に
足をつかまれ
やがて
動けなくなって
生まれる前から
ひと通り蹂躙されていた
免疫不全
仮説としては家畜
屠殺されたらいいのに
食されることを望めない
生き延びる家畜
俺たちは何でもない
屠殺されたらいいのに
もともと俺たちは何であったのか
狂おしい思いは声にはならない
行き場所も帰る場所も見当たらない
針を抜いた注射器の中身は
変わらぬままの空気
崖に落ちてく列車の窓に映った
黒く変形した俺たちの姿
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