なまはげ話/プテラノドン
 
魚の形をした山脈。
冬ともなれば、日本有数の豪雪地。
あたりに人気のない山小屋の中で
なまはげがひそひそと話し合っている。
明日の献立は何にする、とか
お面の色を変えてみようか、とか
かぼちゃは栄養たっぷりなのよ、とか
お面の下は、いい歳したお母さんたちが
来るべき時に向けて準備をしている。
憂鬱症の男と一緒に。盆地一帯は
まだまだ緑が多かったが、その男に
お母さんたちが日本酒を飲み干すよう
無理強いして、いよいよ男が
だいぶいい感じに酔っぱらいだすと
盆地は紅葉し始めた。
その日はもうすぐかもしれない。
尤も、肝心の子供たちといえば
すやすやと眠っていて
顔を近づけると、
林檎の匂いがするって話。

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