パパの思い出/
さくらいちご
たかったってこと
全部言えずに、全部言わずにきた私が恨めしい。
私が社会人になってもう少し経った頃、パパは用事があると呼びつける私に会いに来た。
「無職の男性と一緒に暮らすので引っ越します」と私は言う。
家族みんなに「絶対許しちゃダメだよ」と言われてきていたパパ。
「あんたの気持ちをちゃんと聴かないとと思って」と私の話をひたすら聴いてくれた後、
「もう一緒に旅行とか行けなくなっちゃうのかね。」と寂しそうに言うパパが恨めしかった。
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