花時計/るるりら
 
る六時

植物のように生きることを夢想する。雨の日にはすっかり葉や花を閉じて 遠くでカレーの匂いや焼肉の匂いがする団地
の片隅 心のふるさとを探しながら

ある七時

植物のように生きることを夢想する。夕顔が かんぴょうになって明日の遠足の太巻き寿司にかわってゆくべく 茶色に
煮ふくまれていくのを見ながら

ある八時

植物のように生きることを夢想する。ファッションリーダー ネタに踊る週刊誌の芸能人が ローカロリーな野菜中心の厳
しい自己管理をしていることに思いを馳せながら

ある九時

植物のように生きることを夢想する。真っ赤な薔薇が黒光りの
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