花時計/るるりら
る六時
植物のように生きることを夢想する。雨の日にはすっかり葉や花を閉じて 遠くでカレーの匂いや焼肉の匂いがする団地
の片隅 心のふるさとを探しながら
ある七時
植物のように生きることを夢想する。夕顔が かんぴょうになって明日の遠足の太巻き寿司にかわってゆくべく 茶色に
煮ふくまれていくのを見ながら
ある八時
植物のように生きることを夢想する。ファッションリーダー ネタに踊る週刊誌の芸能人が ローカロリーな野菜中心の厳
しい自己管理をしていることに思いを馳せながら
ある九時
植物のように生きることを夢想する。真っ赤な薔薇が黒光りの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)