季節のタブロー(秋)/恋月 ぴの
 
祈りの数だけ神がいて
祈りの数だけ願いがある


何故人は祈るのか
恐れおののく、その先の
抗いきれぬ力に前を遮られ
溜め息さえも躊躇して


祈りの数だけ花が咲き
手向けた花の数だけ願いがある


心で描いた輪郭とは
ずれた地平で生きている
それはコインの裏表
大河の流れに身を任せ
行く末を一枚のコインに委ねる


それでも祈る


祈りの数だけ思いがあり
思いの数だけ願いがある


省みる為の祈りではなく
平伏す為の祈りでもない


我が心の内を大切に
思う心を大切に


空に祈ろう
巡り来る季節に心の全てをさらけ出し
流れる雲は秋の空
心に染み入る秋の気配に
背伸びのひとつも呉れてやる
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