「夏の終わり」(コラボレート作品)/ベンジャミン
 

プラットホームの端っこで
小さく手を振る人がいる


動き出す列車の背中には
きっと誰かの

そう
見送る視線のその先には
きっとそんな

夏の終わりが小さく笑っている


  *


 電車は走り出していた。当たり前のように、急行列車がいくつもの駅を通過していく。
 僕は吊り革につかまって、さっきみた景色を思い出そうとした。何回も。けれど、その度ごとに、プラットホームは小さな台地になり、振られていた手は打ち寄せる波になって、その音だけが、どこまでも広がっていくのだった。
 聞いたことのある誰かの苗字と、同じ名前の駅名がアナウン
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