ひたすら/なかやまそう
黄色い帽子を
被った水色の
三角のコドモたちと
ひたすら昇る
地下鉄の階段で
右耳から外れた
ヘッドフォンを
左手にモチカエ
笑顔で渡る
秋の風が漂う
横断歩道は
どことなく
会社に向かう僕を
盛り下げるけど
パン屋でいつもの
ハムと卵の
サンドウィッチを
2つ買い
不機嫌な顔で
反応の鈍い
自動ドアに僕の
存在を感知させて
ゆっくりと昇る
エレベーターで
いつもの一日が
はじまる
ヤコブセンの
白い椅子に腰掛け
煙草をふかしながら
眺める穏やかな河は
いつも僕に
違った感情を
もたらすけれど
平凡をこよなく
愛す僕に必要な
もっとも
大切なモノまでは
教えてくれない
だから今日も
半分に欠けた
月を眺めたり
深夜に銭湯の道を
たずねられて
すこしすねたり
しながらも
大切なモノを
必死にさがしながら
ひたすら
今日も僕の
限られた日常を
過ごしてみるんだ
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