雨について/簑田伶子
 
いる。
また雨の日にでかけたい
なあ。}

傘をささずに
雨の中へ飛び出すことができたのは
14歳になってからだった




シーン3


雨が降っている
この家はいつだって静かだ

あれはいくつのときだったか
あなたはとても恵まれているのよ
と母に言われたことを急に思い出して
目の前の母が
今はかなしいのだ

窓の外の雨は強くなる
いや
本当は最初から強かったのだろう


泣かないので
私はいつも
雨に
なりたかったのだ


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