月と幼子/日和
バッグを溢れ出て
私の部屋の床いっぱいに零れました
床はあたたかく光っていました
月の光は私の影の上もするすると流れました
また 空からも
夜を流れてトクトクと
やわらかなそれが零れてきました
ひたひたと月の光に溺れてゆく感覚は
どうも
悪いものではありませんでした
私は
月の光の海に抱(いだ)かれ
ゆらりゆらりと揺れながら
そして
なんとも言いようのない 4歳の少女のような気持ちでした
月は光を落としすぎたのでしょうか
はたまた
いつしか私は眠ってしまったのでしょうか
月が
静かに
静かに
夜に溶けてゆきました
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