月と幼子/日和
 
十五夜のお月さまがあんまり綺麗だからと託(かこつ)けて
不眠症の私は
窓を開け放して月を眺めていました
この夜は よく澄んだ涼しい夜で
遮るものもなくて
惜しげもなく
私に光を浴びせてくれました

私はこの光を
あたたかなこの光を忘れたくなくて
大きなキャリーバッグを引っ張り出してきて
月の光を収納しようと
ファスナーを引いたのです

月の光は また 惜しげもなく
私のキャリーバッグに注ぎ込まれました
みるみるうちにキャリーバッグは
月の光でいっぱいになって
ついには キャリーバッグの方が抱えきれなくなって
するすると
月の光は溢れ出て
キャリーバッ
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