月のしずく/LEO
 
季節は一冊の本にまとめられ
秋の頁をめくりながら
月明かりの下
あなたの言葉を
思い返すのです

秋の頁はとても長く
多くの言葉で
埋め尽くされているはずなのに
めくってもめくっても
ただ白いばかり
月が白く輝いてる
そのせいだと思いました


すこし冷えた空気
月明かりは影を残さずに
しずくのようにそそいで
あなたとわたしの間には
透明なベールが下ります

手を伸ばしても
届かぬ月が
膝を抱えるわたしを
静かに見下ろして
優しい気持ちにしてくれました


あなたとわたしの距離が
月明かりの届くものであるように‥

秋の頁に
そう
書き入れました

それさえも
白く
見えはしなくて

そっと本を閉じ
胸にしまいました




月は見下ろし
明かりは
しずくのようにそそいで

肌を

濡らします





戻る   Point(12)