成層圏のいいわけ/たりぽん(大理 奔)
今朝の空は成層圏のもっと上
宇宙との境界あたりが
こんなにも蒼い
(空の蒼さがスペクトルの分散だというのは、科学者のいいわけ)
見上げすぎたせいか
眩暈でよろめいて
道に落ちた小枝を踏みつけた
(空が蒼いのは未来による今日の屈折、それもまたいいわけ)
パキッとはかない音で折れる
昨日、他愛のない言葉で
折れた心の音と同じだ
(蒼いという認識は誰も説明できない、というのもいいわけ)
今朝の空は成層圏のもっと上
世界と私の境界が屈折して
こんなにも蒼い
蒼い
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