暗澹/ゆみ
頭蓋骨が震える高音の悲鳴が最後の武器
動かない右手に錆びたナイフ翳してわたしは生きるよ
子供のころは毛布にくるまって世界の様子見てた
手紙を書いた いってきます(もう帰りません)
決別の雨なんか降らなかったけど
銀の鎖で両手を繋ぐよ
わたしはわたしに縛られている
抜け殻の肉体に現人が宿る
無意味なことは大好きだという目をして
舌先三寸 いつだって声だけが味方だった
大丈夫だと何度も口にした そう言えば大丈夫になるから
言霊信仰 馬鹿にしてもいいよ
でもやめないから これだけを信じて生きてきた
動かない右手に錆びたナイフ翳してわたしは生きるよ
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