ノート(夜のあいだ)/木立 悟
 



車と車のあいだに
紙袋が泳いでいる
青信号が
すべてを引き裂いてゆく


地鳴りの夜と
静けさの夜のあいだに
やがて売られてゆく木々が
育っている


もう動くことのない機械が
折れ曲がり
なかば土にうずもれ
浅い地獄を見ている


白い雲と
もっと白い雲のあいだに
割れたふたつの器があり
言葉をこぼしては泣いている


誰も乗っていない自転車が
幾つもの駐車場を走り抜け
地に散らばる光を引き連れて
うたとうたのあいだに消えてゆく







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