行方不明の朝/カンチェルスキス
 



 揺れるカーテンなんぞに感傷を重ねて
 俺はマンホールの世界にしがみついている
 堤防の下の壊れた冷蔵庫の中から生まれた
 有刺鉄線に刺さったアゲハ蝶を見上げている
 役割を終えた空が黒焦げになってる
 それを夜と呼んだ 長く続いた 今も



 可能性の海は凍りついて知らない奴等の土足にされた
 春夏秋冬 反吐が出る繰り返し 
 見たことのない朝は 皮膚と骨の間でいつも育まれていた
 俺は折り曲げた膝の痛みでひび割れた声を出した
 窓ガラスを伝って落ちる俺の声が腫れ物のように腐った 
 不完全燃焼の笑いを得意げに響かせて
 暗がりで歪な炎を点した
 派
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