ムカシ話/チアーヌ
 
ムカシ、ムカシ。
目がひとつだけだった頃、家というのは全部が布と革で出来ていました。
壁は革張りで、屋根は布を何重にも重ねて、一番上にはオーガンジーやサテンなどで美しく飾るのが一般的でした。
雨?
そんなものは降りません。
川も湖もありますが、雨なんて降りません。
不思議ですか?そうでもないでしょう?簡単なことです。とても簡単な。
これは目がひとつだけだった頃のお話です。

あるきょうだいが、家の前で遊んでいました。すると、弟が変な歌を歌いだしました。

「骨
 骨
 骨
 踏み潰せ
 肉
 肉
 肉
 踏み潰せ
 僕は死んだら家になる
 僕は死んだら家にな
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