禁じられてない遊び/たもつ
 



バスの回数券を一枚ずつ切り離す
私たちの遊びは既に失効している
終わりがないプレイルームで
延々と始まりだけが続き
つまるところ距離が無いという意味の部屋で
初めて見た虹を汚らしいと思った私たちは
それは奇麗なものなのだと教えてもらった
そして奇麗だと信じた私たちの
指先は今この瞬間にも何かと途切れている
今まで沢山の死に方を学び上手に物真似もできるのに
死体ごっこ、
そんな遊びをしてはいけないと大人たちは言う
テレビの中で炎上する街の美しさに歓喜の声を高らかに上げ
我こそは世紀の大悪党ブッシュである、という決め台詞に
大人たちはスイッチを切り
それは正義の味方の名だ、と
たった一つの真実を大切なことであるかのように告げる
その間にもバスは次々と操車場から出庫するので
回数券をすべて切り離してしまった私たちは
お互いの体毛をむしり取りお互いを相殺する
それでも禁じられてない遊びに夢中になりながら
どこかに繋がろうと無邪気に冷たい指先を伸ばす



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