入沢康夫(「現在詩」の始まり)/岡部淳太郎
 
辿っていけば
弱い日ざしが背すじに重く
心中しないじゃ 山が許さぬ
山が許さぬ
 ジャジャンカ ワイワイ

ジャジャンカ ジャジャンカ
ジャジャンカ ワイワイ

(「失題詩篇」全行)}

 祭りの囃子歌のような「ジャジャンカ ワイワイ」というリフレインが、心地よいリズムを作り出している。詩というよりも歌詞のような趣を持った作品である。内容の方はといえば、心中しようとする男女が火山の噴火口のあたりまで来て迷っているというものである。噴火口を覗きこんではみるが、やはりためらいがあるのだろう。そこに佇んだまま動けない。そんな絵が頭に浮かんでくる。だが、もくもくと吹き上げる煙が二人を
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