悲しい摩擦音/
カンチェルスキス
口笛するけど音が出ない
きみはうつくしい食器を洗った手で
一枚の銀紙を折り畳む
訊ねようとしたことを
思い出すために
つらい過去も思い出し泣いた
カレンダーから数字をなくせば
何が残るのだろう
簡単に方角を言い当てることなど
できないけど
太陽の沈む空は西
一瞬の炎は
マッチを擦る時の
悲しい摩擦音によって
生まれた
手さぐりの午後に
傷のような雨が降りはじめる
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