やさしい活気が乱暴に穴を開けた/カンチェルスキス
 




 ぼくたちの見えるところ見えないところ
 繰り返される欲望の衝突のおかげで
 ぼくたちはもぬけの殻になってしまった
 風鈴がチリンと一つだけ鳴る
 意味を終えた紙吹雪のように
 ぼくたちは吹っ飛んでいってしまう
 おもちゃ箱をひっくり返して火をつけた
 燃えてしまえば急にわかる
 全部大切なものなんかじゃなかった
 有り金を差し出したら気持ちが楽になった
 絵描きでもなればいいのに
 みんな絵描きでもなればいいのに
 描いた絵を燃やして描いた絵を燃やして
 その燃えカスで新しい絵を描こう
 空を飛んだら撃ち落された
 地面って硬いんだ
 何度でも死ねるぐらい硬いんだ
 怒りを差し出したらあの娘が泣いた
 ナミダ流しすぎて粗くなった頬を
 撫でるためだけに存在する
 ぼくの小さな手
 ぼくの手が木漏れ日のように降って
 あの娘の雨がやむ

 
 ぼくたちは見かけによらず先がないよ


 やさしい活気が乱暴に穴を開けた




  
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