匿名/カンチェルスキス
 





 月曜日とにかく光射すバスの窓際に座って
 手のひらのにぶい氷が溶けてゆく
 仮死状態でありながら
 勃起する
 なくした心臓の空白
 暗闇からきわだつ白い幹を
 幼虫のような白いものを
 取り出す    
 地面に落ちた眼球に
 正体を射抜かれた
 拘束服を着せられる
 狂いの無い病気の犬だ


 スタートラインの白線を踏んだまま

 追記のない世界







  
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