火の鳥/千波 一也
 
横顔を見せた
一つも動かず
然れど黙らず



不意にわたしは
巨大な棺のなかに在ることを自覚した
いま、火種は放られたのだ



あまたの刹那は
何処へと還るのだろう

輪廻は優しき永劫かも知れない

あまたの刹那は
何処へと還るのだろう



幾千幾万の人波は終わりを告げない



潤んだ瞳を
次から次へ 空へと向けて
遠く遙かへ 駈けのぼってゆく
翼をもたない
その
白の背中




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